埼玉県立大宮高校スーパーサイエンスクラブ校外実習「人類学を楽しもう
科学技術振興財団のスーパーサイエンスハイスクール事業の一環として、高校生・大学生・大学院生が参加した「人類学を楽しもう!」という校外学習を行いました。
東京大学理学部で人類学を学ぶ学部4年生が、科学に興味を持つ高校生に人類学の楽しさを伝えました。
埼玉県大宮高校の実習報告
- 2010年5月9日(日)9:30〜16:00
- 会場:国立科学博物館上野本館、東京大学総合研究博物館
- 参加者
- 埼玉県立大宮高校スーパーサイエンスクラブ(24名、引率:齋藤顕子・清水武夫)
- 東京大学理学部生物学科4年生:狩野竜示・中川雄大・森田理恵子・吉田建朗
- 東京大学総合研究博物館研究員:久保麦野
- 東京大学大学院理学系研究科大学院生:久保大輔・小薮大輔・森健人
- 東京大学大学院新領域創成科学研究科修了生:小金渕佳江・蔦谷匠
- 国立科学博物館事業推進部・岩崎誠司
- 東京大学大学院新領域創成科学研究科・米田穣
- 協力
- 国立科学博物館人類研究部
- 日本人類学会人類学教育普及委員会
- 東京大学総合研究博物館 諏訪元先生、
- 東京大学総合研究博物館 遠藤秀紀先生
- 実習の目標
- ヒトはどのような特徴をもった生物かを考える。(自然人類学について)
- どうしてヒトは変わった特徴を持ったのかを考える。(進化とはなにか?)
- 人類の進化について学習する。
- 日本人集団の成り立ちについて学習する。(港川人の何がすごいのか?)
- 科博をすみずみまで楽しもう!
- 大学や大学院での研究や生活について話を聞こう。
- 今日の実習についてご家族に話して、自分が何を楽しんだのか考えてみよう。
- 将来の進路について、いろいろと考えてみよう。(人類学は楽しいよ!)
実習内容
国立科学博物館の展示をつかった人類学ガイドツアー
人類学を専攻する学部生・卒業生が、独自のテーマにそって科博の展示を解説しました。
3班にわかれて、2つのテーマを約2時間で学習しました。
テーマは以下の通りです。
- 食性の変化と人類進化
- 頭蓋骨をよく見てみよう」、
- 人類の生活誌と繁殖戦略
- 道具と進化
- 社会と人間性の進化
- 動物の形態と食性
東大総合博物館の見学
- 人類先史研究部では、日本における旧石器時代唯一の全身骨格である港川人について、実物を見学し、レプリカを手にとって学習しました。また、縄文時代人骨を例にどのように資料を整理し、研究していくかをポスドク研究員と大学院生説明いただきました。
- 動物部門では、様々な哺乳類の骨格標本を見学し、どのように標本をつくるのか、動物の形態を比較することから何がわかるのかを大学院生に説明いただきました。
大学生・大学院生の生活について
- 最後に、理学部4年生と新領域創成科学研究科修了生が、大学や大学院でどのように人類学を勉強・研究しているのかを、日常生活に関する情報を交えて紹介しました。
- 将来の人類学者が参加した大宮高校生から産まれることを期待しています!
参加者の感想
今日の話で、特に興味を持ったことは、なんですか?
- チンパンジーが一番ヒトに似ている。DNA99%が同じ。進化の過程で枝分かれした。…..という話
- 人が進化していくにつれて、かみくだくあごの力が変わり、骨が変化していること。チンパンジーやゴリラなどの類人猿と人との違い。
- ヒトの歯の特徴。食べ物と二足歩行。"
- 動物の解剖
- 動物の骨の形の違いについて。食べ物による歯や体のつくりの違いについて"
- 人類の進化。骨。
- ヒトと類人猿の骨の比較
- 動物を骨や標本にすること。
- 進化の過程での食生活や行動の変化。人類がどのように進化して、他の動物と違った行動をとるようになったのか。
- 頭骨から知る人類の進化
- 人間が他の動物に比べて色んな文化が発達したのは、人間の脳が明らかにおおきくなったからで、その理由となったことが、あごの筋肉の退化だったり、石器の利用だったりに関連しているのが面白いと思った。
- ホビット(ホモ・フロレンシス)はなぜ小型化したか?そしてなぜ滅びたのだろう?
- 人の頭骨の特徴。
- ヒトの進化と人類の特徴
- 環境に合わせて、ねずみや鳥が大きくなり、ぞうや人が小さくなることに驚きました。顔のしくみは、ほお骨が折れやすいこと、目の下に表情を動かす筋肉があること、あごと歯を手がかりにしてDNAを把握できることなど詳しい内容が聞けてとても役に立ちました。
- 人類の骨の特徴について。遺伝子の配列の話。
- ヒトとネアンデルタール人のDNAがまざっていたという話。ホモ・フロレシエンシスの話。なんであんなに小さいのか?小さな手がかりから全体を復元するという話。
- 人類学
- キリンの骨の話。動物全般。食事で骨格などが変わること。
- 人間の進化
- 動物による骨の形のちがい
- ゴリラの「がんじょうこつ」という骨について。標本にする動物をゆでる機械について。骨についての話。
- 動物の進化の歴史
- 人類の進化によってかわっていった頭がい骨の標本。
今日の話で、よく分からないと思った話題はなんですか?
- けれども、2時間て立ち続けて聞くのは疲れてしまう。"
- 原人の分類。
- どれも分かりやすい説明でした。
- 高校で習った生物の授業が役に立ちました。"
- みなとがわじん?縄文の古代人の骨について。"
- 石器の使い方。
- アフリカから3回ほど人類が出てきたということで、何故そのたびに滅んでしまうのか。
- 進化の必然性と目的についての話。
- 人が進化していった理由。
- ネアンデルタール使っていた道具について。
- 人間の足の形が手の形みたいに変化したら、支えられるのかどうか。
- 人間のあごが小さくなり、頭が大きくなった理由は、何らかの遺伝子が失われたためであるか、食べ物の変化であるかということ。
- 遺伝子を全部調べ、問題のある遺伝子を治療する方法を詳しく知りたい。
今まで、「人類学」のことを知っていましたか?どのような分野だと思っていましたか?
- 知りませんでした。理系の分野とは思っていませんでした。
- 人類の歴史などを学ぶ。人の本能や昔から変わっていないことを発見、研究する。
- よく知らなかった。
- あまり良く知らなかった。
- 知らなかった。
- 知らなかった。
- ヒトの進化の歴史とか
- そもそも、そういう学問を知らなかったけれど、社会科の最初に習うようなネアンデルタール人とかを研究している分野を想像していました。
- "あまり良く知らなかった。
- 人の文化やそのようなものを研究するのだと思っていたけれど、他の生物との関連や進化のことも考える分野だと分かった。"
- あまり知らなかった。主に人間の身体について研究する分野だと思っていた。
- 完全に文系の学問だと思っていましたが、なんだか私の好きな理科と社会がくっついたようなかんじだったので、とても興味がもてました。
- 人類の進化についての分野だと思っていたが、もっと広いものだと思った。
- 霊長類ヒト科に関しての学問。骨とか使っていた道具とかで人類の進化の過程を知る。"
- 現在までの人類の在り方を研究する学問だと思っていました。
- 「人類学」についてあまり知らなかったのですが、以前国立博物館に行った時に、がいこつに興味を持っていました。世界史では少し内容に触れていましたが、ここまで深い分野だあると考えたこともありませんでした。
- なんとなく知っていた。思っていた通りだった。
- あまり知らなかった。そして人類学についても考えたことがなかった。
- 知りませんでした。
- 人を研究する分野。解剖は絶対やると思ってた。
- 知らなかった。
- よく知らなかった。人類の歴史についての分野だと思ってた。
- まったく知らなかった。人の行動について統計をとったりしているのかと思った。
- 知りませんでした。人類がどんなふうにして今に至ったのかを調べる程度で骨の研究までしているとは思わなかった。
- 知らなかった。
「人類学」をもって勉強してみたいと思いましたか?勉強すると、どんな役に立つと思いますか?"
- 少し思いました。生物・歴史などの分野にも応用できると思いました。
- 思わなかった。昔→今への人間の進化がわかるため、今→未来を生活がどのようになっていくかを予想して、人類がこれからどう変わるか予測できる。
- 思った。歴史、縄文時代などの文化や生活について。
- 少しだけ勉強してみたいと思った。人の起源について知れる。"
- 全く興味がないわけではないが、特に詳しく学びたいとは思わない。
- クイズ雑学王に出れそう。自分達のルーツを知ることだから、とても興味がある。自分達がこれまでどう進化してきたかや、これからどう成長するかを学べると思う。
- 人類学に興味を持てました。
- 新しい事実を発見するのが難しそうだから、もっと知りたいとは思ったけれど、勉強(研究?)までしたいとは思いません。でも、人体解剖はしてみたい。"
- 初めは興味なかったけれど、今日のお話を聞きながら、展示物を見たりしておもしろいと思った。勉強することによって、人類のこれからの進化の道が見えていくような気がした。(これからあるべき姿?)
- もっと勉強したいと思った。人類の進化について知ることで今私たちが持っている特徴の意味を理解することができると思う。
- 思いました!!研究して成果をあげるのは大変そうですが、過去のことを知って良い未来をつくれると思います。
- すごく好奇心を刺激する学問だと思った。
- 思った。未来の人間がどのように進化していくかも分かるようになると思う。
- 機会があるのであれば。これからの人類の進化(特に科学、医療面で)に役立つと思います。
- 解剖などをやってみたいと思いました。
- 骨とか進化に関しては興味があるが、道具に関してはあまり興味がない。
- してみたいと思った。
- それほどは。
- 特に思わなかった。でも、昔の人たちの様子や姿を知るのは、おもしろいと思う。
- 人間がどんな進化をたどって今の自分たちの様になったか調べてみたい。
思いました。
- もっと、勉強したいと思った。明確にはわからないが、自分が全く知らなかった世界なので、良い刺激になると思う。
- 「人類学」に近い進化論について勉強してみたいと思った。
- 「人類学」を勉強したら、人の習性などが、よく理解できるようになると思う。
- とても、勉強してみたいと思った。
大学院は、どんな印象でしたか?
- さらに真理を深めたり、新しい発見をするために研究などをしていくという印象。
- 自分がやりたい研究をすることができる。
- 自分のやりたい研究をたくさんできる。
- 色々ができそう。
- 自分のやりたいことを好きなだけやっていけそう。内容は難しそうだった。
- 施設がそろっていてすごかった。骨の資料などが多く、すごいとおもった。お堅いイメージがあったが意外と楽しそうだった。
- 歴史を感じた。
- 東大理学部生物科の95%が進むところ。楽しそう、大変そう。"
- 自分たちが不思議に思ったことをとことん追求している感じがしました。自主的な勉強が重要なんだと思いました。(勉強するのが自主的になっているのがいいなと思います。)
- 自分が決めたテーマについてとことん追求できるのは、おもしろそうだけど、論文が大変そうだと思った。
- 学校というより、色々なものがあって自由に勉強ができる感じで、感じはとても好きです。
- 自由度の高い研究ができてる一方、結果を残さないといけないという印象。
- 大学との違いがあんまりない。
- 自分がしたい研究ができる自由な場所。
- 実際に骨を触ることができてとても良かったです。
- すごく広くて、まよいそう。
- 大変だという印象もあったが、自分の好きな研究。
- 大学院より研究所みたいだった。
- 英語が必要。
- 古めかしい。
- 自分のテーマで研究できるのがよいと思った。
- 歴史を感じる雰囲気。三崎の実験所と似ているところがあるように感じた。
- 研究ばっかりしていそうなところ。
- 以前のイメージと違って、楽しそうだった。
大学院で勉強してみたいと思いますか?
- 思います。
- 思う。
- 少し思うが、まだ、よく分からない。
- はい。
- まだわからない。
- はい。
- 好きな勉強をするには、とても良い環境だと思いました。
- 学部によってはいい。
- (ここでは)95%が進んでいるというのを聞いて、行ってみたいと思います。天文学科とかがあるのがいいなと思いました。
- まだ、迷っているけれど、おそらく就活する。
- どうしても調べてみたい専門的なのがでてきたら勉強してみたいと思います。
- 自分のしたいことをできるので、やってみたい。
- 思う。
- 思います。
- まだ、専門的に学んでみたいとは考えていません。
- 思います。
- 思う。
- 思っている。
- 英語で論文なんて書けないから無理。研究自体はとてもおもしろそう。研究だけだったら….。"
- 思う。
- 思いました。
- とても思う。
- 思います。
- 思う。